床に入ってもなかなか寝つけない入眠障害、眠りにつくのに30分~1時間以上かかり、それを苦痛と感じる状態を指します。
不眠症の訴えで最も多く、ストレスや不安や緊張が強い時におこりやすいといわれています。この記事では入眠障害に効果的なツボや漢方についてご紹介していきます。
入眠障害に効くツボ
東洋医学では、人体には生きるためのエネルギー「気」と「血液」の通り道である「経絡(けいらく)」が張り巡らされていると考えられています。
「ツボ」とは経絡上にある「気」の出入り口のことを指します。ツボにはそれぞれ対応した内臓や器官があり、ツボを押すことで、それに対応した身体箇所に刺激が伝わるため、不眠の原因となっている不調が緩和されると考えてください。
様々な症状に合わせて、複数のツボを押すことで相乗効果が期待できます。色んなツボがありますので、一通り試してみてください。
労宮(ろうきゅう)
こぶしを握ったときに中指と薬指の先端の間にあるツボです。「労宮」の名前の由来は諸説ありますが、一説によると心苦労の集まる中心という意味と言われており、心労が重なると、このツボに症状があらわれると言われています。
このツボは心包経という経絡に属しています。手のひらの血流が悪くなると、自律神経を緊張させたり、血流の源になる心臓に負担をかけることになります。
手の中心部に位置する「労宮」を押すことによって、血行が良くなりカラダの緊張を緩和させたり、気持ちを落ち着かせる効果があります。
ストレスやイライラを抑える効果や、サラリーマンであれば会議前など気分を落ち着かせる効果もあります。手のほてり、動悸、吐き気、胸のつかえた感じ、胃腸の不調などの時にも役立ちます。
上半身全体の血行を改善してくれるので、くびや肩のこりにも効果的があるので、ちょっとした休憩時間に押して血行を良くしましょう。
ツボの押し方ですが、労宮を中心に手のひら全体をやや強めに指圧するようにします。一回5秒を5セット行うのがおすすめです。押す強さは「痛いけど気持ちいい」程度が基本です。
友達やパートナーに押して貰うと、リラックス効果も増し、より自律神経の働きを安定させることができます。
失眠(しつみん)
失眠とは中国語で不眠を表す意味で、失眠のツボは眠れないときに押すと良いとされています。精神面を安定させる効果が期待できるので、眠るまえに失眠のツボを刺激してみましょう。
寝る前に両手の親指を重ねてこのツボにあてて、20秒間強めに押してみましょう。回数はこれを10回繰り返します。かかとでゴルフボールやビー玉のような小さい球状のものを踏んで刺激すると良いでしょう。
足裏の硬い部分なので、指ではなくボールペンなどの棒状のものを使うと押しやすいです。100均ショップなどにツボ刺激用の棒も販売されていますから、これを機会に購入してみてはいかがでしょうか。
百会(ひゃくえ)
「百」は多種や多様、「会」は交わる、という意味で頭のてっぺんにあるツボです。気持ちよい程度のマッサージもよいですが、お灸でもとても気持ちよくすっきりとします。
名前の由来のとおり、体中をめぐる多くの経絡が交わる場所ですので、さまざまな効果が期待できます。
場所は左右の耳の穴を結んだ線と頭の正中を通る線との交点です。まず、頭にあることから、頭、顔に関する症状に効果があります。具体的な症状としては頭痛、耳鳴り、めまい、鼻づまりなどなどです。
頭に関連した全身の症状として、不眠や高血圧にも効果があります。頭とは遠く離れた、胃腸の症状や、痔核など肛門の症状にも効いたりします。
遠く離れた場所にも効くのは、百会を通る経絡が、さまざまな場所を廻っているからです。こういったツボによる治療はとても興味深く、東洋医学の神秘を感じますね。
膻中(だんちゅう)
「膻中」はまさに名前の通り胸の真ん中にあり、全身の気が一番良く集まるツボで、ストレスなどにより気が乱れると少し押しただけでも痛みが出るようになります。
場所は左右の乳首を結んだ線の真ん中、胸骨のところです。そのあたりを人差し指で押さえてみて一番痛いと感じるところが膻中です。
押し方は左右の人差し指と中指とを重ねて膻中を押さえたまま、ゆっくり息を吐きながら上半身を前にかがめていき、息を吐ききったら吸いながら上体を戻しましょう
膻中というツボは、全身にある361穴(WHO世界保健機構で定められたツボ)の中でも「気の病」にとても効くとされているツボです。
「腑」「臓」「髄」「筋」「骨」「血」「脈」「気」のそれぞれの気が集まるツボを八会穴といいます。それぞれの病に対応するツボを用いれば効果があると言われています。
「膻中」はその八会穴のひとつで、「気」のバランスを調整してくれるツボです。刺激することできっとあなたの気を落ち着かせて安眠に導いてくれるに違いありません。
完骨(かんこつ)
完骨はさまざまな症状に広く効果がありますが、とくに頭部の症状に効果があり片頭痛、めまい、脳充血、顔面の神経まひ、不眠症などの症状によく効きます。
場所は耳の後ろにある出っ張った骨(乳様突起)の先端を指でたどり、その後ろにあるくぼみの中の圧痛点(押して痛い箇所)か、圧通のあるシコリを見つけてください。そこが完骨のツボです。
頭をつかむようにして、親指をツボに当て、頭の中心にむかって押してください。左右同様に押す事がポイントになります。
自律神経を整える効果があるため、幸せホルモン「セロトニン」の分泌を安定させる効果があります。気分をスッキリさせたいときや頭が疲れているとき、集中したいときにも有効です。
安眠(あんみん)
不眠解消に効果の高いと言われるツボです。睡眠不足の人は押した時に少し痛く感じるかもしれません。そのような場合は痛くない程度の強さで押してみましょう。
場所は耳の後ろを触ると骨が出っ張っている部位があります。その下側には、くぼみがあり、その1~1.5cmほど下にあるのが「安眠(あんみん)」です。昔から眠気を誘うツボとも言われ、多くの不眠症の方を救ってきました。
親指を使い、ツボを押さえ、ゆっくりと力を加えていきます。ここでも力の入れすぎには気をつけ、気持ちがよい強さを目安に押していきます(痛気持ちいい程度)。
そのとき、両手を広げ、親指以外の4本の指で頭を支えるようにすると押しやすくなります。左右のツボに両手の親指をあて、頭を左右にゆっくりと動かして刺激していきます。回数は左右3~5回が目安です。
関元(かんげん)
いわゆる丹田(気力が集まるところ)といわれるところ。下腹部をあたため、頻尿などの尿に関する症状、女性特有の症状に。情緒不安定、足腰が弱くなるなど加齢による諸症状におすすめ。
場所はおへそから指4本束ねた距離、真下にあります。丹田にちゃんと力が入るようになると、結果的に身体の調子が整い、自律神経やホルモンバランスなども乱れづらくなります。
下半身や手足が冷えるという方、月経不順や不妊症、生理痛などでお悩みの方に。また、日常的に無気力だったり体質が虚弱な方、慢性的に便秘や下痢などの症状がある方は、関元を温めてみてると効果がありますよ。
市販のお灸を使われてもいいですし、カイロを当ててもいいですし、ペットボトルにお湯を入れて、タオルで巻いて当てても良いですね。関元はツボを刺激するというより、温めてあげることで効果が現れます。
三陰交(さんいんこう)
最も知られるツボのひとつで、冷え改善や胃腸の調整などさまざまな不調に効果を表してくれます。女性に多い貧血気味で眠れないタイプにもおすすめのツボです。
場所はくるぶしのいちばん高いところから、指の横幅4本分膝寄りで、骨と筋肉の間にあります。気持ちいい程度の強さで刺激するのがオススメです。
足のむくみや排尿に関する症状など、腎臓にかかわる症状を改善してくれます。全身の水のめぐりをよくしてくれるので、冷え性の改善が代表的ですね。
鍼灸では女性の月経不順・生理痛や更年期障害、不妊などの婦人科系疾患の治療に用いられます。胃腸の働きを整え、胃もたれや消化不良などを緩和してくれる働きもあります。
入眠障害に効く漢方
不眠という症状は、体を構成する「気」「血」「水」「五臓六腑」のバランスの乱れから起こるため、この歪みを治すことが根本的な治療になってきます。
漢方薬は、睡眠導入剤のように直接に睡眠を誘導するというよりも、「抑うつ」「不安」「焦燥」などの自然な睡眠を妨げている要因を取り去り、気・血・水・五臓六腑のバランスを整えることによって間接的に不眠を改善していくものだと考えてください。
それでは入眠障害に効果的な漢方薬をご紹介していきます
三黄瀉心湯 (さんおうしゃしんとう)
三黄瀉心湯の三黄とは、大黄(ダイオウ)、黄連(オウレン)、黄ゴン(オウゴン)という色が黄色の3生薬のことを指します。
瀉心(シャシン)は、心下痞(シンカヒ:みぞおちのつかえ感)を瀉する(取り去る)という効能があることを示しています。
なお、三黄瀉心湯の場合の心には心火亢進(シンカコウシン:ストレスの蓄積による興奮や怒り、苛立ちやのぼせ)という症状も含まれます。
三黄瀉心湯は、瀉心湯類(シャシントウルイ)に分類されます。瀉心湯類は黄ゴン(オウゴン)と黄連(オウレン)を含むカテゴリーの総称です。
三黄瀉心湯は、精神が不安定、みぞおち部がつかえて苦しい、便秘傾向の人に適しています。よく使われる症状には「不眠」「肩こり」「頭重」「耳鳴り」「不安を伴う高血圧症」「更年期障害」といったものがあります。
三黄瀉心湯は通販で買える?
漢方薬局に行くというのは、なかなかハードルが高く行きにくいですよね(笑)なので、三黄瀉心湯を通販で買えないか探してみました
楽天市場では、【第2類医薬品】クラシエ薬品 「クラシエ」漢方 三黄瀉心湯 エキス 顆粒 (45包)が2,179円で販売されていますね。
Amazonでも楽天市場と同じ商品が2,598円で販売されていますね。
この他にも、ヤフーショッピングやマツモトキヨシのオンラインストアでも同じ商品が販売されています。通販でなくてもドラッグストアでも取扱いがあるようですね。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
黄連解毒湯に含まれる「オウレン」「オウバク」「オウゴン」「サンシシ」はすべて消炎・解熱作用を持っていて、炎症や脳の充血、興奮性の増大、および自律神経系の興奮、あるいは物質を他の物質に変換する活性が高くなっている状態を改善してくれます。
主薬のオウレン・オウゴンは炎症充血を取り去り、心下(みぞおち)のつかえと不安あるいは肺部の炎症を治し、サンシシ・オウバクは消炎に利尿作用もあり、オウレン・オウゴンと相乗効果をもたらしてくれます。
個々には、オウレンは中焦(心や脾胃)の熱、オウゴンは上焦(肺)の熱、オウバクは下焦(腎・膀胱)の 熱を、サンシシは三焦(全体)の熱を冷ましてくれます。
具体的な効果が見られる症状としては
などです。この他にも、女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状にも効果があります。
黄連解毒湯の口コミ
黄連解毒湯を実際に服用した方はどのような口コミを寄せているのか見てみましょう

皮膚科で処方してもらいました。説明書によると、精神安定の効果があるみたいです。苦味が強くて飲みやすくはないですが、昔もっと強烈な漢方薬を飲んだことがあるので想像したよりは大丈夫でした

こちらの漢方を飲むまでの症状としては、顔全体が赤くとにかく四六時中かゆくて、洗顔はもちろん化粧水さえもできない状態でした。
ところが、これを飲み初めて1週間程過ぎる頃には痒み、赤みが嘘のようになくなりました。そして、安眠?の効果もあるようで、元々不眠ぎみの私にはなくてはならい存在になりました。
どうやら皮膚科で処方してもらう方が多いようで、入眠障害で黄連解毒湯を飲んだ方はいらしゃらないようです。しかし、下の女性のように安眠の効果があったという意見もしっかりありますね。
入眠障害にはこの他にも、「女神散」という漢方薬が処方されるとの事ですが、女神散は産前産後の神経症、月経不順を伴う更年期神経症に用いられているので、この記事では割愛します。
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