睡眠は5時間も眠ったら十分という人と、8時間眠らないと熟睡感がないという人がいるように、睡眠の満足度には個人差が大きく、明確なラインが決められているわけではありません。
睡眠時間にかかわらず、「寝た気がしない」といった症状がある、これが熟眠障害と言われるものです。
この記事では、熟眠障害に効果的な漢方薬や市販薬をご紹介していきたいと思います。
熟眠障害に効く漢方
それでは熟眠障害に効く漢方を見ていきましょう
加味逍遙散(カミショウヨウサン)
加味逍遥散は「産婦人科の三大漢方薬」のひとつで、月経異常や更年期障害など、女性特有の症状によく用いられる漢方薬です。
症状としては体力があまりない人で、「肩こり」「めまい」「頭痛」「のぼせ」「発汗」「イライラ」「不安」などといった、不定愁訴といわれる多様な心身の不調に広く用いられます。
名前の中に入っている「遙」とはぶらぶら歩くことを意味しますが、「加味逍遙散」自体もさまざまに移り変わる症状に効果があることからつけられた名前なんです。
三大漢方薬はいずれも、うっ血や血行障害など、血の流れの滞り、またはそれによって起きる様々な症状や疾病を指す言葉である「瘀血(おけつ)」を取り除いてくれる「駆瘀血剤(くおけつざい)」ですが
「加味逍遙散」は、気の循環が乱れ、下降しなければならなかった気が逆流し上昇してしまう状態である「気逆(きぎゃく)」からくる神経の高ぶりにも、「気うつ」からくる抑うつにも効果を現してくれます。
現代では、職場や家庭からのストレスによって頭痛やめまい、不安、不眠などの症状に悩まされる人が少なくありません。「加味逍遙散」は、そうした心身の不調にも使われます。
配合されている生薬には
柴胡(サイコ):セリ科のミシマサイコなどの根を乾燥したものです。 漢方的には、解熱、鎮静、解毒などの効能があります。
芍薬(シャクヤク):ボタン科の多年草。初夏、大形の紅・白色などのボタンに似た花を咲かせます。
当帰(トウキ):セリ科の植物でセロリに似た香りを持ち、体を暖めながら乾燥を改善し、血行を良くする意味の補血するほか、妊娠に適した体内環境へ整え、妊娠中のトラブルを防ぐという意味の安胎作用があるといわれます。
茯苓(ブクリョウ):松の根に寄生するサルノコシカケ科のマツホドの菌核を乾燥したものです。 漢方的には、利水、健脾、安神の効能があり、「むくみ」「食欲不振」「消化不良」「動悸」「不眠」といった症状に用いられる生薬です。
蒼朮(ソウジュツ):ホソバオケラまたはシナオケラの根茎を乾燥したものです。 漢方的には、「健胃」「整腸」「利尿」といった効能があり、水分の代謝異常や消化器系の機能障害などに用いられています。
山梔子(サンシシ):アカネ科のクチナシの果実を乾燥したものです。 漢方的には、「清熱」「除煩」「消炎」といった効能があり、症状としては「熱症状」「のぼせ」「イライラ」「不眠症」などに用いられます。
牡丹皮(ボタンピ):ボタン科のボタンの根皮を乾燥したものです。 漢方的には、「活血」「清熱」といった効能があり、症状としては「鼻血」「吐血」「下血」「月経不順」などに用いられています。 またボタンは品種が多く、薬用と観賞用があることで知られています。
甘草(カンゾウ):漢方薬に欠かすことのできない生薬の一つです。漢方で使われる甘草は、ウラルカンゾウ・スペインカンゾウの根及び根茎を乾燥させたもので、「鎮痙」「鎮痛」「鎮咳」「去痰」「解毒」「副作用防止」といった目的で、様々な漢方方剤に配合されていて、よく知られている生薬の1つです。
生姜(ショウキョウ):ショウガ科のショウガの根茎を乾燥したものです。漢方的には「発汗」「健胃」「鎮吐」といった効能があり、「風邪」「嘔吐」「食欲不振」といった症状に用いられています。類似生薬にカンキョウ(乾姜)がありますが、ショウキョウはカンキョウよりも健胃や吐き気止めの効果が高いと言われ、漢方によく使われるのはショウキョウです。
薄荷(ハッカ):シソ科のハッカの地上部を乾燥したものです。漢方的には、「透疹」「解表」といった効能があり、「風邪」「頭痛」「咽頭痛」「皮膚掻痒症」といった症状に用いられています。またハッカに近い植物として、ペパーミントやスペアミントがありますが、これらはハーブとして用いられています。
加味帰脾湯(カミキヒトウ)
加味帰脾湯は少しの運動で息が切れたり胸苦しい感じがし、胃下垂や慢性胃腸. 炎などの症状を引き起こしやすいといった気血両虚(きけつりょうきょ)を改善する代表的な気血双補剤(きけつそうほざい)です。
特に心血が不足し、心神を滋養できないと、意識が散漫となったり、
心血虚の症状に陥ると「不眠症」「不安感」「記憶力の低下」「集中力の低下」といった精神症状が現れやすくなります。
「加味帰脾湯」はその名前の通り、「脾」の働きの改善を第一に目指す漢方薬です。過労や消化器の不調などによって気の不足が慢性化すると、血の不足にも結びつきやすくなります。
このような病的状態である気血両虚の状態を立て直す治療の定石として、まずは脾、つまり胃や腸を含めた消化器の力を向上させることで飲食物から充分な気と血を生み出す作用があります。
消化器系が健全な状態になれば食べ物からしっかりと気が生まれ、その気を原料として血が生まれます。血が全身の栄養になれば肉体的にも精神的にも安定した状態となってゆきます。
なので、気血両虚の状態であれば加味帰脾湯は消化器系症状やメンタル系の症状以外にも幅広く応用が利く漢方薬なのです。
配合されている生薬はというと
黄耆(オウギ): マメ科キバナオウギ又はナイモウオウギの根です。 「利尿」「強壮」「血圧を下げる」「抹消血管拡張」「抗アレルギー」といった作用などがあり、「疲労倦怠」「内臓下垂」「胃腸虚弱」「皮膚化膿症」といった症状などに用いられます。人参とともに元気をつける代表的な補気薬の一つです。
柴胡(サイコ): セリ科のミシマサイコなどの根を乾燥したものです。
酸棗仁(サンソウニン): 体力が普段より落ちていて、心身が疲れ、精神不安、不眠などがあるものの、不眠症、神経症などに適用されます。酸棗仁は不眠症の代表的な生薬です。西洋医薬の睡眠薬と異なり、穏やかに効きめが現れるのが特徴と言えます。
蒼朮(ソウジュツ): ホソバオケラまたはシナオケラの根茎を乾燥したものです。
人参(ニンジン): 人参は漢方の要素として、強壮剤の代名詞としてよく知られています。「抗疲労」「強壮」「強心」「鎮静」「胃腸の衰弱による新陳代謝機能の低下」などに効果があるため、幅広く使用されています。東洋の伝統薬物の中でも、高貴で最も珍重される生薬とされ、世界中で愛用されています。
茯苓(ブクリョウ): 松の根に寄生するサルノコシカケ科のマツホドの菌核を乾燥したものです。
遠志(オンジ): オンジは和名を「糸姫萩(いとひめはぎ)」と書き、生薬としては根を用います。痰の粘液溶解作用などにより痰を排出しやすくする去痰作用や、むくみの原因である余分な水分を取り除いて、むくみや腫れを改善する抗浮腫作用、利尿作用などが知られています。
漢方では安神・去痰・消腫として、「動悸」「健忘」「不眠」「咳嗽」「多痰」「乳腺炎」「腫れ物」といった症状に用いられます。とくに精神を安定させたり、健忘症を改善する効能で知られています。
山梔子(サンシシ): アカネ科のクチナシの果実を乾燥したものです。
大棗(タイソウ): クロウメモドキ科ナツメの果実を乾燥したものです。その果実は漢方薬の重要な「調整役」の一つとして、漢方薬にありがちな異なる成分の薬理作用の衝突を和らげるため、様々な処方箋によく加えられます。
当帰(トウキ): セリ科の植物でセロリに似た香りを持ち、体を暖めながら乾燥を改善し、血行を良くします。
甘草(カンゾウ): 漢方で使われる甘草は、ウラルカンゾウ・スペインカンゾウの根及び根茎を乾燥させたものです。
生姜(ショウキョウ): ショウガ科のショウガの根茎を乾燥したものです。
木香(モッコウ): キク科のモッコウの根を乾燥したものです。健胃や整腸薬としての働きがあるので、「嘔吐」「腹痛」「下痢」「消化不良」「寄生虫病」などに処方されます。 インドでは気管支拡張作用や去痰作用があるとして、喘息に用いられる事があります。
竜眼肉(リュウガンニク): ムクロジ科リュウガンの仮種皮を半乾燥したもので、「ショ糖」「有機酸」「窒素酸化物」などを含んでいます。漢方的には、補血効果や精神を安定させるなどのリラックス効果があり、「不眠症」「健忘症」「食欲不振」「貧血」「滋養強壮」といった症状に効果が見られます。
熟眠障害に効く市販薬
まずは大手通販サイトのAmazonや楽天市場で購入できる市販薬からご紹介していきましょう。代表的な睡眠導入薬としては「ドリエル」「ネオデイ」「リポスミン」あたりではないでしょうか。
手軽に購入できることから、沢山の睡眠不足に悩む方が使用した経験があると思います。しかし、これらは非常にコスパが悪いんです・・・
ドリエル
Amazon:12錠入り、1,638円
楽天市場:12錠入り、1,630円
ネオデイ
Amazon:12錠入り、957円
楽天市場:12錠入り、795円+送料600円
リポスミン
Amazon:12錠入り、405円
楽天市場:12錠入り、387円
これらの有効成分は同じ「ジフェンヒドラミン塩酸塩」というものです。これからご紹介する睡眠導入薬は、「ドリエル」「ネオデイ」「リポスミン」と同じ成分のジフェンヒドラミン塩酸塩が配合されているものです。
アレルギー・メディスンという睡眠導入薬です。600錠入りで価格が2,372円、単価でいうと3.9円という安さですから驚きです。
3つの中でも安いリポスミンでも8倍以上、ドリエルになると33倍もの価格差があります。同じ成分なのに恐ろしいほどの違いですよね。
それに500件以上のレビューが集まり、その平均評価が☆4.5という高評価です。「ドリエル」「ネオデイ」「リポスミン」など比較になりません。
アレルギー・メディスンについては、最安値の販売店を探した記事を用意していますので、気になる方は下のリンクボタンからどうぞ!
次に病院などで処方される睡眠導入薬で市販されているものをご紹介します。
まず、睡眠導入薬は作用のメカニズムから、大きく分けて2種類に分けられ、さらに細かく分けられ4種類になります。
ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系
メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬
今まで使われていた睡眠導入薬は、脳の機能を低下させるものが中心になっていました。大脳の神経活動を抑えることで、眠気をもたらす睡眠導入薬です。
効き方としては、「疲れきって寝てしまった」時のような感じがします。脳の機能を低下させるので、強引さのある効き方をします。
それに対して近年は、自然な眠気を強くする睡眠導入薬が発売されて主流になりつつあります。私たちの睡眠~覚醒の周期に関係する生理的な物質の働きを調整し、本来の眠気を強める作用があります。
個人的な意見ですが、脳の機能を低下させる作用のある睡眠導入薬は、起きた時に体の怠さが残っていたり、十分睡眠が取れた気がしなかったので服用を止めました。
それで、自然な眠気を強くする作用のある睡眠導入薬に切り替えてみました。時間に余裕を持って布団に入ると、いつの間にか寝ていることが多く目覚めもスッキリしていました。それが次にご紹介する市販薬です。
オレキシン受容体拮抗薬:ベルソムラ
ロゼレムはメラトニンの作用を促し、体内時計を整え、自然な眠りを誘うような催眠作用をもたらしてくれます。
従来の睡眠導入薬と比較すると、効果は穏やかですが、体内時計が乱れることによって生じている睡眠障害に効果を発揮します。ふらつきなどの副作用が少ないため、比較的、ご高齢の方でも安全に服用することができます。
ロゼレムについては、詳しい記事がありますので下のリンクボタンからご覧ください。
ベルソムラの成分は、「スボレキサント」とよばれるものです。私たちが起きているときは、「オレキシン」とよばれる脳内の神経伝達物質のはたらきによって脳の覚醒状態をコントロールしていると言われています。
ベルソムラは、そのオレキシンの作用を抑えることによって、覚醒を抑えることによって、自然な睡眠状態へと導いてくれます。
ベルソムラについても、詳しい記事は別に用意していますので下のリンクボタンからご覧ください。
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